【絵の描き方】模写やデッサン上達のコツ【知覚と認知の違い】

絵の練習で模写やってるけど全然上手く描けん

そんな方のための記事です。

目次

「見たまま描く」ってどういうこと?

出典:『ブルーピリオド』

デッサンや模写は、見たものを見たまま描くという練習です。

でも、「見たまま描く」という言葉の意味、本当に理解できてる人はどれくらいいるでしょうか。

見たまま描くということはつまり、

脳の側頭葉を使って描くということです。

なるほどわからん

だよね!!

見たまま描くという言葉の意味をよく理解し、さらには見たまま描くコツを使うことで模写は上手くなります。

詳しく説明していきましょう。

実験

と、その前に、私が実際にそのコツを使って描いてみた例があるのでご覧ください。

ピカソをペペペっと5分模写しました。

ピカソ写真出典:flicker

フツーに描いた方は、普段女の子しか描かないせいで手癖が出てしまい、しわがあるのに若い女性感のあるなんとも奇妙な仕上がりとなってしまいましたw

コツ使った方のが写真に似てますよね!

ちなみに、絵を描くのなんて小学校の図工以来という夫にも同様に描いてみてもらいました。

右のコツ使ったやつの方が若干写真に近いよね……?

てか夫の絵の方が魅力的じゃない?(敗北宣言)

やっぱ素人絵って味があっていいなあ。

知覚と認知の違いを意識しよう

さて、脳の側頭葉を使って描くの話に戻ります。

脳の話が出てきますが、難しくはありません。

私達がふだん物を描く時、例えば人の顔を描く時、

人の顔だ!

と認識しながら描いています。

顔を構成するもの、目・鼻・口・眉毛・耳・髪の毛、全てをそれと認識しながら描いています。

もっと言うと、目に映ったものを言葉に変換して、言葉で定義しながら描いているのです。

これを認知というよ

しかし!この認知が絵を描く時には邪魔になります。

なぜなら、認知というのは、見たものを見たまま認識するのではなく、見たものを脳の記憶と照合してそれが何であるか判断、言わば自分が知っているものに変換する行為だから。

これには大いに主観が影響します。

この認知の段階に行く前に、私達はまずモノを知覚します。

知覚って?ネコを見た時の例で説明します。

  1. 目の前の物体を見る
  2. 網膜に映った物体の像が電気信号に変換されて脳に伝わる
  3. 脳の各部位で物体を認識
    側頭葉:物体の色や形を認識
    頭頂葉:物体の動きや奥行きを認識
    前頭葉:映った物体がネコであることを判断

感覚器官で外界の情報をとらえることを知覚といいます。

そして絵を描く時は、前頭葉での判断よりも側頭葉と頭頂葉での知覚情報が大事!!

特に色や形の情報をとらえる側頭葉が大事!!

見たまま描くコツ

そうは言っても実際どうやって側頭葉意識したらいいの?

これまでのモノの認識の仕方を忘れてください。

出典:『ブルーロック』

これまでの認識を捨てろという言葉はよく聞かれますが、これは自分を変化・成長させる時に有効な考え方です。

これまでの状態に対する批判が無ければ変化や成長は生まれません。

見たまま描くコツ

  1. 言葉での定義を捨てる
  2. さかさまにして描いてみる
  3. ネガティブスペースを描く(シルエットを描く)
  4. 格子描きツールを使う

①言葉での定義を捨てる

例えばネコを見た時それをネコと思うなということです。

「な、なんだこの生き物は!?」とネコを初めて見たつもりになって、どんな形でどんな色でどんな素材かとよく観察して描きましょう。

②逆さまにして描いてみる

参照画像を上下逆さまにして模写してみましょう。

出典:flickr

上下逆さまになるだけで脳は混乱し、知覚優位になります。

実は前述のピカソの絵もこの方法で描いたものです。

対象が風景やモデルで逆さまに出来ないときは自分が逆さまになってみましょう。

頭に血がのぼるね

③ネガティブスペースを描く

物体ではなく、物体の周りのスペース(ネガティブスペース)を意識して描いてみましょう。

②の逆さまで描くをやると無意識にこの描き方になります。

④格子描きツールを使う

こういうやつ。

アルテージュ デスケル B 66502

クリアファイルとかで自分でも作れそうですね。

デジタルであればグリッドツールを使いましょう。

プリンの模写

格子を利用して物体の比率を客観的に確認しながら描けるのでだいぶ描きやすくなります。


こういったコツについては詳しくはこの本に書いてあります。

決定版 脳の右側で描け

知覚と認知どっちが偉いの?

今回はあくまで見たまま描くためのコツとして知覚優位な状態で描くことを紹介しました。

しかし、絵を描く時常にそうしろというわけではありません。

例えば、認知優位で描く良い例が漫画絵や絵文字です。

漫画絵や絵文字は物体を記号化して描いています。

実際には全然そんな形してないのに、物体の象徴的な部分を抽出してそれっぽく描いてます。

これを抽象化ともいいます。

手塚治虫のマンガの描き方

つまり、どんな絵を描くかによって脳を使い分ければいい。

写実的に描くなら知覚情報優位、漫画的に描きたいなら認知情報優位にして描けばいい。

脳の部位をバランスよく鍛えてバランスよく描けるようになるといいですね!!

絵を描くことと脳の関係についてもっと詳しく知りたい方はこちらの書籍がおすすめです。

ヒトはなぜ絵を描くのか――芸術認知科学への招待


絵の描き方 模写やデッサン上達のコツ

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