大学生になりました!
30代という大人になってからの初めての大学。
京都芸術大学通信教育部デザイン科イラストレーションコースに2021年に入学し、現在2年生です。
1年間通ってみていろいろと実態が見えてきたので、今後入学を考えている人のためにも感想を記したいと思います。
京都芸術大学通信教育部を選んだ理由
独学でイラストやデザインを学んでいるうちに、もっと深く芸術を学びたいと思うようになりました。
そんな時に京都芸術大学通信教育部の広告がインスタか何かで流れてきてわりと速攻で入学を決意しました。
主な決め手となったのは以下です。
- 通信大学という特性上、社会人やシニアでも入学しやすい
- 芸術が学べる
- 芸術学士が取得できる
- 海外在住でも完全オンラインで卒業できる
- 学費が比較的安い
完全オンラインで芸術が学べる
通信大学で芸術を学びたいなら、京都芸術大学の他にも大阪芸術大学や武蔵野美術大学などといった選択肢があります。
しかし多くの大学はスクーリング等で大学に出向かなければいけない機会があるので、海外在住の私には完全オンラインのみで卒業できると謳っていた京都芸術大学が唯一の選択肢でした。
学費が比較的安い
イラストレーションコースは32.3万円程度と通信にしてはお高めなんですが、他のコースなら17万円~とかなり安いです。
学科・コース | 学費 |
---|---|
イラストレーションコース | 323,000円(×在籍年数)+その他手数料 |
芸術教養学科 | 170,000円(×在籍年数)+その他手数料 |
アートライティングコース | 231,000円(×在籍年数)+その他手数料 |
書画コース | 300,000円(×在籍年数)+その他手数料 |
授業料の他にも以下の費用が必要になります。(イラストレーションコースの場合)
- 初年度のみ入学金20,000円と選考料30,000円
- スクーリング授業を受ける人はスクーリング受講費1科目8,000円~
- 科目によってはテキスト代
- AdobeCreativeCloudのサブスク代
- ClipStudioPaintのサブスク代または購入費
- パソコン購入費
- 液タブor板タブ購入費
AdobeCreativeCloud
AdobeCreativeCloudとはAdobe社が販売している、フォトショやイラレ、プレミアプロとかのデザイン系アプリのことです。
大学では一式揃ったコンプリートプランの購入を推奨しています。
購入先は以下から選んで安いとこで買いましょう。
ただしこれらは定価なので、Adobe公式やAmazonはセール時もっと安いです。
ちなみに私は買ってません。
今んとこ授業ではイラレしか使ってないし、私の場合Adobe社から毎年イラレを無料でもらってるので買わなくても事足りています。
無料なにそれ気になる!って人は以下の記事に詳述してるので参考にしてみてね。
ClipStudioPaint
お絵描きアプリで一番有名なClipStudioPaint(以下クリスタ)。
クリスタは機能によってEXとPROの2種類があります。
大学ではアニメーションの授業があるので、アニメーション制作にも対応したクリスタEXという上位プランの購入を勧められました。
クリスタEXは定価23,000円ですが、外国語版であれば4半期に1回半額セールをやっているので、英語とかの外国語版でも抵抗なければその時に買うのがおすすめ。
実際に通ってみて感じたこと分かったこと
どんな人が通ってるの?
まず年齢層ですが、通信なので20代半ば以降の中堅社会人が多いかと思いきや意外に若い人も多い。
たぶんイラストレーションコースならではだと思います。
みんなの画力に関しては、もうプロやん!!って人もいれば、絵を始めたばかり!って人もいて様々です。
普通の通学の芸術大学は、ずっと美術をやってきた既に激うまな人でなければ入学できない感じですが、さすが通信大学は門戸が広く、学びたい人は誰でもウェルカムって感じで良いですね。
年齢も住んでる場所もレベルも多様な人が同じ目的を持って頑張れる環境ってすばらしー。
大学の授業
私は1年次入学なので、イラストの専門科目以外にも一般教養科目や芸術史・芸術論関係の科目もたくさん取らなければなりません。
そのおかげでレポートの執筆に追われ、むしろ入学してから絵を描く時間は減りました。
といっても量より質になったという意味で、ひとつの絵と向き合う時間は増えたと思います。
絵を描きたくて入学した人はこれを苦痛に感じるかもしれませんが、私は一般教養や芸術について大人になってからじっくり学べるのがとても楽しいです。
芸術に関する知識見識も深まり、デザインやイラストの良いインスピレーションになってくれています。
独学では見つけることが出来なかったような良書もたくさん知ることができ、読書も楽しいです。
今まで知らなかった経済学とか詩学とか心理学とかの世界についても大学の授業を通して深く知ることができて、世界がどんどん広がる感覚が楽し――!!
もちろんレポート書くのはしんどいけどね!
広い教養というのは、あのなんだっけアップルの人もカリグラフィーがなんちゃらと言ってたように、点が線になる感じで自分の制作にも絶対に役立ちます。
アイディアの引き出しが増える感覚ですね。
公開講義がおもしろい
不定期で開催される芸術関係の無料公開講義がとてもおもしろいです。
ZOOMでも配信してくれるので遠隔地でも受講することができます。
イラストレーションコースの授業
様々なレベルの学生がいるので、授業の内容も基礎から上級まで広くカバーするような内容になっています。
課題もなかなかに(やりがいがあるという意味で)しんどいものが多いです。
プロによるイラスト添削
イラストレーションコースはプロによる添削を売りにしています。
添削例→ https://www.pixivision.net/en/a/6793
正直、上記添削例みたいなここまで丁寧な添削を私は今んとこもらったことがないです。
一度あまりにもやっつけ仕事な添削をもらったことがあるので、コンシェルジュにクレームを入れて再添削してもらったこともあります。
添削者によって添削内容に落差があるので、学生間では添削ガチャなんて言われてました。
開設したばかりの新コースで想定外の多さの学生が集まって添削も大変なのは想像できます。
実際、緊急に添削者を多数雇ったみたいなことを言ってたので。
コース運営側の体制もまだ未熟だったんだと思いますが、学生からの要望やクレームは共有されてるはずですし(?)、今は改善されてることを願います。
絵柄
Pixivとの提携コースという所為か、授業で学習する絵柄はいわゆる漫画アニメ系がメインです。
講師一覧:ア・メリカ、加藤公太、吉田誠治、砂糖ふくろう、PALOW. 、米山舞、refeia 、うえだヒロマサ、イラレ職人コロ、しまざきジョゼ、NaBaBa、栗田唯、寺田てら、サタケシュンスケ、山村れぇ、えぐちりか 他
講師一覧を見てもほとんどが漫画アニメ系の方々ですね。
実際に漫画アニメ系は世界中で人気も高く需要も多いので商業イラストの絵柄としては最適でしょう。
もし、絵本系の絵柄やデザイン系の絵柄を学びたいという人であれば、少し授業内容が自分に合わないなと感じるかもしれません。
しかし絵柄の好みが違っても、絵の理論やイラストの基礎部分は一緒なので学べることはたくさんあります。
完全オンラインは本当?
イラストレーションコースは、「完全オンラインで卒業できる」を謳っています。
確かにイラストレーションコースの科目に関しては受講もテキストの閲覧も課題の提出も試験も全てオンラインでできます。
が、一般教養などその他科目については、スクーリング・課題の郵送・紙のテキストが必要な科目も多いです。
1年次入学の場合は124単位取らないと卒業できないのですが、そのうちコース専門科目は48単位のみ。
残りの76単位はコース専門以外の科目を取らなければいけません。
私のように海外在住の場合、スクーリングはZOOMでの遠隔スクーリングしか受けれないし、課題が郵送だったりアナログ本が必要な科目は必然的に受講することができません。
つまり完全オンラインで卒業するには、かなり取れる科目が限られてしまいます。
この科目取りたくても取れない!!
なんてことがざらにあります。
海外在住で入学を考えてる人はその点お気をつけください。
まあ一時帰国のタイミングを工夫したり、テキストを国際郵便で送ってもらう手段もあるけどお金も時間もかかるからね。
できれば全てオンラインで完結させたいよね。
国内在住者であれば、課題の郵送も紙のテキストの入手も難しくないので完全オンラインかどうかはさほど気にする必要は無いでしょう。
享受できるサービス
イラストレーションコースの学生になると受けれるお得なサービスもいくつかあります。
Pixivプレミアムが無料
これは2年目から始まったサービスですが、Pixivプレミアムが無料になります。
講師ラジオを聞ける
講師陣が毎週ラジオであんなことやこんなことを話してくれます。
現場のリアルな話が聞けておもしろいです。
DMM英会話11か月分が70%OFF
これはイラストレーションコースだけでなく学生全員が対象だったと思います。
細かい割引率は忘れましたが確か70%程度OFFの割引価格でDMM英会話が受講できます。
コース主催のイラストコンテスト
去年は年賀状イラストコンテストがありました。
入賞者は賞品としてイラスト本をもらってましたよ。いいなあ。
これらのサービスはきまぐれ単発のものか継続的に受けられるサービスなのかはコースが開設したばかりなのでわかりません。
運営側もいろいろと試行錯誤中かと思います。
大学でイラストを学ぶ意義
おそらく多くの人が、
- イラストなんて大学で学ばなくてもネットに無料講座いっぱいあるしなあ
- イラスト学ぶのに年間30万かあ……専門学校よりは安いけど……ネットに無料講座いっぱいあるしなあ
- ネットに無料講座いっぱいあるしなあ
とちょっと悩んだと思います。
運営側もこの辺は意識しているようで、ネットの無料あるいは格安講座とどう差別化するかを画策している様子です。
私個人としては、大学は習う場というより自ら探求研究する場なので、イラストの講座代だと考えたら年間30万は高いけど、自分や世界とじっくり向き合う時間・場所・資料代だと思えば悪くないと思います。
イラストだけではなく芸術も学ぶことになるので、手早くがっつりイラスト技術を勉強したい!!という人よりは、イラストを通してじっくり自分と向き合いたいという人に向いてると思うよ。
実際、大学にはいろんな人がいます。
- 将来イラストレーターになりたい
- 現在の仕事に活かしたい
- 芸術の知識を深めたい
- ヒマを持て余している
- 第二の人生としての生涯学習
- 働きたくないでござる
授業に出席したからといってそれだけで知識が増えるわけでも絵が上手くなるわけでもありません。
大学の目的は知識の提供ではなく学生の世界観に影響を与えることです。
答えを見つけてそれに火を灯すのは自分自身です。
なんか上手くまとまったので終わります。